妙高市は「妙味あふれる桃源郷」小泉武夫先生より
2月10日。わがやの味」スタッフ募集を公開した本日。偶然にも東京農大小泉先生が妙高市の温泉、鮎正宗さん、かんずりさん、そしてわたしどもの「ねおかんぱーにゅ南部」を新聞(毎日新聞)でご紹介いただき、本当にビックリしました。 妙高の自然や地元の食の素晴らしさを少しでも多くのかたに知っていただける機会に、微力ながらご協力できたかと思い、感無量です。 食材を提供してくださったみなさま、会を催してくださった「小泉武夫先生と妙高の食を語る会」のみなさま。改めて感謝いたします。 そして小泉先生。またお料理を作らせていただける日を楽しみにしております。
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味覚人飛行物体 美味巡礼の旅 小泉武夫
第178回 新潟県妙高市 「妙味あふれる桃源郷」
日本百名山の一つに数えられる名峰「妙高山」は別名「須弥山(しゅみせん)」とも呼ばれ、仏教世界説によると「世界の中心にそびえ立つ高い山」という意味を持つという。そのように古くから人々に信仰され、親しまれてきた妙高山のすそ野に妙高市がある。四季折々の風情が展開されるとても美しい自然郷で、爽やかな空気、清冽な湧水、肥沃な大地が年中そこにはあって、そこから育まれる農作物の豊かさと美味しさは、まさに須弥山の恵みとも言える。 その妙高市には、天然温泉がとても多く、中でも赤倉、新赤倉、池の平、妙高、関、燕、大滝、矢代といった温泉は全国に知られる名湯ばかりである。 そのように恵まれた自然を生かして今年からは都会の人たちを迎え入れる滞在型市民農園も始まるという。都会の人にこの妙高の地を第二の故郷として利用してもらい、農業や農作物を通して地元住民と交流するというものである。 とにかく、妙高市の入村市長の町づくりはまことにユニークで、その信念は「生命地域の創造」。人と自然が調和して、すべての生命を安心して育むことができる地にしようとするものである。 さて、私こと味覚人飛行物体、「妙高の食を語る会」に招かれて行ってきた。自然の中にたたずむ旧みずほ保育園に作られた「ねおかんぱーにゅ南部」がその会場で、妙高の食文化を発信する基地でもある。そこで村越洋一料理長のつくる郷土料理の味は絶妙でその時だけでも19種の料理が出された。たとえば「幼鯉の甘露煮」「タニシのガーリックバター」「丸いものとろろ」「紅白なます・菊の甘酢漬け」「かぼちゃとクルミのサラダ」「なめこ汁」「おぼろ入りドジョウの柳川蒸し」などで、中でも「スジ海老とマコモのかき揚げ」はこの土地以外では食べられない絶品の味がした。 この妙高市は山からの伏流水が豊富なところから、昔から銘酒を醸す酒蔵もあり、その日は地元の名酒「鮎正宗」を飲んだ。とてもフルーティな芳香を持ち、端麗辛口で、舌の上をすべるように撫でる上品な味は素晴らしく、まさに清冽な川をおどる鮎のごとき酒であった。 また、この妙高市特産の発酵トウガラシである「かんずり」を出された料理に少しずつ付けて食べると、その風味はぐっとグレードアップする。冬の寒い日、真っ白い雪の上にまいて味をしめた真っ赤なトウガラシを糀やユズなどを加えてつき、長期間発酵させた昔からの伝統調味料だ。とにかく妙高市は21世紀の桃源郷である。(東京農大教授)